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20代必見!平均貯金額185万円を超えるための効果的な貯蓄術大公開

金融広報中央委員会の調査では、日本全国の20代のうち、単身世帯で83.2%(※1)、二人以上世帯で75.4%(※2)が老後の生活に不安を感じていると回答しています。

また、同調査によると、十分な金融資産がないこと、年金や保険が十分ではないとの理由から、老後の生活を心配する20代の世帯が多いようです。

このような悩みを解決するためには、年齢が若いうちから将来を見据えて、積極的に貯金へ取り組む必要があります。

とはいえ、日本の20代は収入が少ない傾向にあり、何かとお金が必要になる場面も多いことから、なかなか上手に貯金ができずに苦労している方も多いのではないでしょうか。

そこで、日本全国の20代の平均貯金額や、今後のライフイベントで必要な貯金額を紹介したうえで、20代でも効率よく貯金ができるおすすめの方法を解説します。

20代の平均貯金額は約185万円、中央値は約20万円

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」を参照すると、20代の平均貯金額は約185万円であることがわかっています。

全国平均と自身の貯金額を見比べて、その差に驚きを隠せない20代の方も多いのではないでしょうか。

上記の平均値は一部の高所得層によって数値が引き上げられている可能性が高いため、政府のデータを参照する際には、「平均値」と「中央値」の違いを理解しておく必要があります。

  • 平均値:複数の数を等分したときの値(例:0・0・6の3つの数字の平均値は2)
  • 中央値:複数の数を順に並べたときの中央にくる値(例:0・0・6の3つの数字の中央値は0)

平均値はすべてのデータの合計値を等分したときの数値で、中央値はすべてのデータを順番に並べた場合にちょうど中央にくる数値です。

平均値の場合、一部の高所得層によって数値が大幅に引き上げられており、日本の20代の現実的な平均貯金額とはズレが生じてしまう可能性があります。

中央値のほうが、私たちが普段よく使う「平均」の意味に近しいデータといえるので、これらの違いを理解したうえで、あらためて日本全国の20代の平均貯金額と中央値のデータをみてみましょう。

なお、本記事の「貯金額」には、現金の預貯金以外にも、株式や債券といった有価証券なども含まれています。

世帯別20代の平均貯金額
世帯平均中央値
総世帯185万円20万円
二人以上世帯214万円44万円
単身世帯176万円20万円

参照:家計の金融行動に関する世論調査[総世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
参照:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
参照:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会

日本全国の20代の平均貯金額は約185万円ですが、一方の中央値は約20万円と大きな差があります。

二人以上世帯の中央値は44万円ですが、共働き世帯や専業主婦(夫)世帯も含まれており、一人あたりの実質的な貯金額はおよそ22万円といえるでしょう。

これらのことから、20代の平均貯金額としては20万円がひとつの指標になるといえそうです。次は、世帯別の平均貯金額をより詳しくみていきましょう。

二人以上世帯の場合

まずは、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」より、二人以上世帯の平均貯金額からみていきます。

【二人以上世帯】20代の平均貯金額
年齢20代(参考)全国
総数171世帯5,000世帯
金融資産非保有35.7%23.1%
100万円未満19.9%9.2%
100~200万円未満9.4%6.4%
200~300万円未満8.8%4.5%
300~400万円未満7%4.8%
400~500万円未満1.8%3.2%
500~700万円未満7.6%6.9%
700~1,000万円未満3.5%6.4%
1,000~1,500万円未満2.3%8.3%
1,500~2,000万円未満0%5.2%
2,000~3,000万円未満0%7%
3,000万円以上1.2%11.7%
無回答2.9%3.4%
平均214万円1,291万円
中央値44万円400万円

参照:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会

20代の二人以上世帯では、金融資産非保有世帯を除くと、100万円未満の金融資産を保有する世帯割合が最も多くなっています。

また、全国平均と比較すると、平均貯金額はおよそ1,077万円、中央値でおよそ356万円の差があることがわかります。

日本では年齢上がるにつれて収入が増える傾向にあるため、収入が低めの20代は貯金がしづらい環境にあるといえそうです。

一方、二人以上世帯の資産保有割合についてもみていきましょう。

【二人以上世帯】20代の資産保有割合
年齢20代(参考)全国
項目内訳貯金割合内訳貯金割合
金融資産保有額214万円1,291万円
預貯金
(定期性預貯金)
121万円
(27万円)
56.54%
(12.62%)
562万円
(285万円)
43.53%
(22.08%)
金銭信託3万円1.40%15万円1.16%
生命保険22万円10.28%154万円11.93%
損害保険1万円0.47%19万円1.47%
個人年金保険14万円6.54%78万円6.04%
債券1万円0.47%46万円3.56%
株式32万円14.95%261万円20.22%
投資信託16万円7.48%111万円8.60%
財形貯蓄2万円0.93%29万円2.25%
その他金融商品1万円0.47%16万円1.24%

参照:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート6|知るぽると 金融広報中央委員会

20代の二人以上世帯では、銀行口座の預貯金が最も大きな割合となっており、次点で株式、生命保険と続きます。

全国平均と比較すると、現金の預貯金で保有する割合が高い傾向にあり、20代の二人以上世帯では投資に対してそこまで積極的ではないことが伺えます。

単身世帯の場合

続いて、20代の単身世帯の平均貯金額についてもみていきます。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」によると、20代の単身世帯では2割以上が100万円未満の金融資産しか保有していないことがわかります。

【単身世帯】20代の平均貯金額
年齢20代(参考)全国
総数549世帯2,500世帯
金融資産非保有42.1%34.5%
100万円未満22.6%13.4%
100~200万円未満11.5%7%
200~300万円未満6.4%5%
300~400万円未満4.6%4.5%
400~500万円未満2.6%2.6%
500~700万円未満3.6%5.4%
700~1,000万円未満2.6%4%
1,000~1,500万円未満1.1%4.8%
1,500~2,000万円未満0.4%3.3%
2,000~3,000万円未満0.4%4.4%
3,000万円以上0.5%8.8%
無回答1.8%2.4%
平均176万円871万円
中央値20万円100万円

参照:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会

単身世帯は自分のことだけにお金を使うことができるため、二人以上世帯よりも貯蓄割合は全体的に低めです。

全国平均と比較しても100万円未満の割合が非常に高く、そこまで積極的に貯金に取り組む世帯数が少ないものと推測できます。

20代の単身世帯における資産保有割合は、次のとおりです。

【単身世帯】20代の資産保有割合
年齢20代(参考)全国
項目内訳貯金割合内訳貯金割合
金融資産保有額176万円871万円
預貯金
(定期性預貯金)
87万円
(20万円)
49.43%
(22.08%)
370万円
(187万円)
42.48%
(21.47%)
金銭信託5万円2.84%8万円0.92%
生命保険8万円4.55%82万円9.41%
損害保険4万円2.27%10万円1.15%
個人年金保険10万円5.68%55万円6.31%
債券9万円5.11%45万円5.17%
株式19万円10.80%172万円19.75%
投資信託15万円8.52%97万円11.14%
財形貯蓄16万円9.09%11万円1.26%
その他金融商品3万円1.70%21万円2.41%

参照:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート6|知るぽると 金融広報中央委員会

上記のデータをみると、二人以上世帯につづいて単身世帯においても、現金の預貯金が最も大きな割合を占めていることがわかります。

次点で株式の割合が多いことも共通していますが、投資信託や財形貯蓄の割合が高くなっており、生命保険や損害保険での貯蓄割合は低めです。

20代の単身世帯では、万一の病気やケガで働けなくなるリスクよりも、投資のリターンを重視する傾向にあることが伺えます。

年収別の貯金額

ここでは、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」より、設問間クロス集計を参考にして20代の年収別貯金額をみていきます。

【年収別】20代の平均貯金額
世帯二人以上世帯単身
平均中央値平均中央値
全国平均1,291万円400万円871万円100万円
収入はない28万円0円18万円0円
300万円未満232万円5万円99万円8.5万円
300~500万円未満133万円10万円203万円100万円
500~750万円未満235万円153万円850万円295万円
750~1,000万円未満193万円50万円100万円100万円
1,000~1,200万円未満2,165万円2,165万円1,367万円1,800万円
1,200万円以上395万円395万円0円0円

※年収1,000万円世帯は総数が少ないためデータに偏りが見られます
参照:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果 設問間クロス集計 シート1|知るぽると 金融広報中央委員会
参照:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 設問間クロス集計 シート1|知るぽると 金融広報中央委員会

単身世帯では年収が上がるにつれて貯金額も増えていきますが、二人以上世帯では年収にかかわらず、およそ200万円前後の貯金額で推移していることがわかります。

二人以上の場合は子どもがいる世帯も含まれており、養育費や教育資金、住宅ローンなど、単身世帯よりも普段の支出額が多い傾向にあります。

そのため、単身世帯に比べて全体的な貯金額は少ない傾向にあるものと推測できます。

同調査では、年収が300万円未満でも3,000万円以上の貯金をしている世帯が2%前後、一方で、年収が750万円を超えていても100万円以下の貯金しかない世帯が約18%もいることがわかっています。

貯金額の多寡については必ずしも年収面が影響するわけではなく、貯金の取り組み方や考え方によっては、年収が少ない20代でも数千万円以上の貯金が可能といえるでしょう。

20代の約4割は貯金がゼロ

日本全国の20代の多くがある程度の金融資産を保有していることがわかりましたが、一方で、二人以上世帯の約3.6割、単身世帯の約4.2割は貯蓄がないこともわかっています。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)」を参照して、20代の金融資産非保有世帯の割合も確認していきましょう。

20代の金融資産保有状況
世帯総世帯二人以上世帯単身世帯
金融資産なし40.6%35.7%42.1%
金融資産あり57.4%61.5%56.3%
無回答2.1%2.9%1.8%
平均185万円214万円176万円
中央値20万円44万円20万円

参照:家計の金融行動に関する世論調査[総世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
参照:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
参照:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会

上記データを参照すると、総世帯の約4割は一切の金融資産を保有していないことがわかります。また、二人以上世帯よりも単身世帯のほうが金融資産非保有の割合は高めで、貯金に対してやや消極的であることが伺えます。

特に、単身世帯の場合は、病気やケガで働けなくなってしまうと、収入が途絶えて生活ができなくなってしまうリスクがあります。

二人以上世帯でも同様のリスクがあり、子どもがいる場合は教育資金を賄うのに苦労する可能性も考えられるでしょう。

自身の家族や両親の介護費用が発生することもあるので、今後の長い人生を見越して、早いうちから積極的に貯金へ取り組んでおくことが大切です。

1,000万以上貯金している割合は全体の3%前後

金融資産非保有世帯がいる一方で、年収が低い傾向にある20代でも、全体の3%前後は1,000万円以上の貯金に成功しています。

20代で1,000万円以上の貯金世帯割合
世帯総世帯二人以上世帯単身世帯
1,000万円以上2.7%3.5%2.4%
1,000万円以下95.3%93.7%96%
無回答2.1%2.9%1.8%
平均185万円214万円176万円
中央値20万円44万円20万円

参照:家計の金融行動に関する世論調査[総世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
参照:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
参照:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会

20代の総世帯における平均貯金額が185万円、中央値が20万円であるのに対し、約2.7%の20代は1,000万円以上の貯金に成功しています。

いまは年収が少ないうえに貯金額が少なかったとしても、効率のよい資産形成の方法や貯金を継続するためのコツを知っていれば、年齢が若い20代でも1,000万円以上の貯金は可能です。

老後に向けた貯蓄の考え方

老後に向けた貯蓄の基本的な考え方としては、「老後の支出 – 老後の収入」を計算して不足分の金額を貯めることが大切です。

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要」を参照すると、老後に必要な生活資金の目安を計算することができます。

65歳以上の無職世帯の家計収支(2021年)
項目単身世帯二人以上世帯
社会保障給付120,470円216,519円
その他収入14,875円20,057円
合計(実収入)135,345円236,576円
消費支出132,476円224,436円
非消費支出(※1)12,271円30,664円
合計(支出)144,747円255,100円
不足分(実収入-支出)9,402円18,525円
実質不足分(不足分+その他収入)24,277円38,582円

参照:家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要 Ⅱ総世帯及び単身世帯の家計収支 18ページ|総務省統計局
参照:家計調査 収支項目分類の基本原則|総務省統計局

※1 : 税金、社会保険料、借金利子など

2021年時点の65歳以上無職世帯における社会保障給付は、単身世帯で約12万円、二人以上世帯で約21.7万円です。

それに加えて、預貯金の引き出しや財産の売却、保険金の受け取りなどで生活費を補填しており、その金額が「その他収入」として約1.5〜2万円となっています。

一方、老後の毎月の支出額は単身世帯で約14.4万円、二人以上世帯で約25.5万円となっており、この金額には税金や社会保険料などの非消費支出も含まれます。

上記のデータを合計すると、65歳時点の資産を取り崩しながら普通に生活をするだけで、単身世帯では毎月9,402円、二人以上世帯で18,525円が不足する計算です。

仮に65歳時点で一切の金融資産を持っていない場合は、毎月2.4〜3.9万円が不足してしまいます。厚生労働省の「令和3年簡易生命表の概況」によれば、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約88歳です。

65歳から平均寿命までの期間を約20年と仮定すると、老後を普通に暮らすだけで約582.6万円の赤字となります。

これらは老後の生活資金として必要最低限とされる金額で、ゆとりのある老後生活を送るためには、さらに多くの貯金が必要です。

20代のライフイベントと必要になるお金

これからの貯金の計画を建てるためには、直近で起こり得るライフイベントと必要な金額を事前に把握しておく必要があります。

20代のライフイベントとして、主に次の4つが挙げられます。

  • 就職・転職
  • 結婚資金
  • 出産費用
  • 教育資金

それぞれのライフイベントで必要になるお金の一例を紹介します。これからの貯金額の目安を計算する際の参考にしてください。

就職・転職

0代になると就職活動をする方も多く、中には転職活動を検討中の方もいるでしょう。

就職・転職をする際には、次の項目でお金が必要です。

  • スーツ代(スーツ、シャツ、革靴、カバン代含む)
  • 交通費(説明会、試験会場、面接時など)
  • 履歴書、写真代
  • 試験や業界研究用の書籍代
  • 転職活動中の生活費(税金等の支払い含む)

実家暮らしで就職活動をするなら問題ありませんが、遠方から一人暮らしをしている学生や転職活動を考えている方は、普段の生活費を含む貯金が必要です。

総務省統計局の「家計調査年報 家計収支編(単身世帯)」の2022年における「表番号8 住居の所有関係別」を参照すると、単身世帯の1ヶ月あたりの平均支出額は約161,753円です。

転職活動は早くとも2ヶ月程度、中には半年以上経っても転職先が決まらない方もいるため、最低でも半年分以上の生活費は貯金しておきたいところです。

また、就職や転職に合わせてスーツ代や交通費、勉強用の書籍代、企業に提出するための履歴書や写真代なども必要です。

結婚資金

ゼクシィ結婚トレンド調査2022調べ」を参照すると、結納・婚約〜新婚旅行までの総額(推計値)で、およそ371.3万円が必要です。

  • 結納・婚約〜新婚旅行までにかかった費用総額(推計値):371.3万円
  • 結納式の費用:16.6万円
  • 両家の顔合わせ費用:6.6万円
  • 婚約指輪:35.8万円
  • 結婚指輪(2人分):26.1万円
  • 挙式、披露宴・ウェディングパーティー総額:303.8万円
  • 新婚旅行:29.6万円
  • 新婚旅行土産:4.3万円

※「結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用 総額」の算出時に用いた各項目の平均金額を掲載しているが、これは結納・会場費および両家の顔合わせ・会場費については実施した人の、その他の項目については費用の発生した人の平均金額であり、各項目の平均金額の合計は、「結納・婚約~新婚旅行までにかかった費用 総額」とは一致しない
参照:ゼクシィ結婚トレンド調査2022調べ 39ページ

実際には両親や家族からの援助、ご祝儀などがあるため、上記の費用を全額自己負担で賄うわけではありません。ですが、結婚式の規模や招待客の人数、準備を進めるなかで必要な予算が増えていくことも考えられます。

将来的に結婚を考えている方は、やはりある程度は貯金をしておく必要性は高いといえるでしょう。

出産費用

子どもを出産する際には、およそ50万円(正常分娩時)の費用が必要です。

一般的な出産費用の一例と目安は、次のとおりです。

  • 妊婦健診費用:初診1万円前後、以降5,000〜7,000円程度
  • 分娩費用と入院費用:45万〜50万円
  • その他:マタニティ・ベビー用品代など

※超音波検査や血液検査などで追加費用が発生する場合もあります

国民健康保険中央会の「出産費用 平成28年度」を参照すると、正常分娩の平均出産費用の内訳は次のとおりです。

出産費用の一例(平成28年度)
項目平均値中央値
入院日数6日6日
入院料112,726円102,000円
室料差額16,580円0円
分娩料254,180円250,000円
新生児管理保育料50,621円51,500円
検査・薬剤料13,124円10,000円
処置・手当料14,563円5,560円
産科医療補償制度15,881円16,000円
その他28,085円18,440円
妊婦合計負担額505,759円493,400円

参照:正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)(様式1)|国民健康保険中央会

正常分娩での出産は公的医療保険が適用されないため、これらの費用は基本的に自己負担で賄う必要があります。

一方、異常分娩などで帝王切開をする際には公的医療保険の対象となります。

自身が個室などを希望した場合は差額ベッド代も発生するため、上記の項目以上の費用を準備しておかなければなりません。

なお、出産時には「出産育児一時金」や「出産手当金」、地方自治体が用意する補助制度が利用できる場合があるので、将来的に出産を考えている場合は、事前に調べておくようにしましょう。

教育資金

子どもが生まれたら、幼稚園や小学校に通わせるための教育資金も必要です。

文部科学省の「子供の学習費調査(令和3年度)」による、幼稚園〜高等学校(全日制)を卒業するまでの学習費総額は、次のとおりです。

子供の学習費総額(幼稚園〜高等学校卒業まで)
区分公立私立
期間年間卒業まで年間卒業まで
幼稚園165,126円495,378円308,909円926,727円
小学校352,566円2,115,396円1,666,949円10,001,694円
中学校538,799円1,616,397円1,436,353円4,309,059円
高等学校(全日制)512,971円1,538,913円1,054,444円3,163,332円

※卒業までの期間は、幼稚園・中学校・高等学校は3年間、小学校は6年間で計算しています
参照:結果の概要-令和3年度子供の学習費調査|調査結果の概要|4 幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額(表9参照)|文部科学省

また、子どもが大学に入学することを考えると、さらに高額な教育資金が必要です。

子どもの教育資金は、人生の3大支出(教育資金・住居資金・介護資金)に数えられるほど高額な支出となります。

20代のうちに上記費用が全額必要なわけではありませんが、子どもの成長に合わせて、計画的な貯金に取り組み続ける必要があります。

20代におすすめの貯蓄方法

お金を貯める方法は、貯金ばかりではありません。20代の方が無理なく貯金するには、以下の方法がおすすめです。

  • NISA・つみたてNISA
  • iDeCo
  • 株式投資
  • 投資信託
  • 財形貯蓄制度
  • 積立保険
  • ロボアドバイザー
  • 固定費の見直し
  • 金利の高い銀行を選ぶ

NISA・つみたてNISA

NISA・つみたてNISAは、毎年決められた金額内の金融投資であれば、得られた利益が非課税になる税制優遇制度です。

それぞれに年間非課税枠と非課税保有期間が定められており、最大限に活用すれば600万〜800万円を非課税で運用できます。NISAとつみたてNISAの違いは、次のとおりです。

期間2023年まで2024年以降
区分一般NISAつみたてNISA成長投資枠つみたて投資枠
非課税保有期間5年間20年間無期限化無期限化
年間非課税枠120万円40万円240万円120万円
非課税保有限度額1,800万円(成長投資枠は1,200万円まで)
投資可能商品・上場株式
・ETF
・公募株式投信
・REIT等
・長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託
(※金融庁への届け出が必要)
・上場株式
・投資信託等
・長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託
(※金融庁への届け出が必要)
払出し制限なし
対象年齢20歳(※2023年1月以降は18歳以上)20歳※2023年1月以降は18歳以上18歳以上18歳以上

参照 : NISAとは?|金融庁

一般NISAは、年間120万円×最長5年間で最大600万円が非課税となります。一方つみたてNISAは、年間40万円×最長20年間で最大800万円が非課税で運用可能です。

これまでのNISA制度では、一般NISAとつみたてNISAが年単位の選択性とされており、両者の併用ができませんでした。

ですが、2024年以降は「令和5年度税制改正の大綱」により、NISA制度の根本的拡充・恒久化を目的に制度内容が大幅に改革され、両者の実質的な併用が可能となります。

また、非課税保有期間が無期限化され、年間非課税枠も大幅に拡大されたことで、これまで以上に大きなメリットのある資産形成の方法に生まれ変わります。

なお、現行のNISA・つみたてNISAの買付・積立投資は2023年で終了となりますが、2024年以降の新NISA制度とは別枠で非課税保有枠が継続されます。

2024年以降はこれまでのNISAやつみたてNISAの非課税保有枠を利用できなくなってしまうため、現行のNISA制度を活用していない方は、これを機にぜひ検討してみましょう。SBI証券や楽天証券などのネット証券なら、オンライン上で簡単にNISA口座の開設手続きができます。

iDeCo

iDeCo(イデコ)は「個人型確定拠出年金」とよばれる制度で、老後を見据えた資産形成を目的とした運用方法です。

原則として60歳になるまで資産を引き出すことはできませんが、掛け金が全額所得控除の対象で、運用益が非課税になるなどの大きなメリットがあります。

また、60歳以降で資産を引き出す際にも所得控除が受けられるため、老後資金の貯蓄に備えながら税負担の軽減効果が期待できます。

なお、iDeCoの加入対象者は、国民年金の第1〜第3号被保険者や任意加入被保険者となっており、それぞれで拠出可能な限度額も異なる点にはご注意ください。

これまでのiDeCoは、「企業型DC(企業型確定拠出年金)」との併用ができませんでしたが、2022年の法改正に伴い、両者の併用が可能となりました。

より効率よく資産形成を行うことができるので、確定拠出年金制度を利用していない方は、ぜひ積極的にご活用ください。

参照 : iDeCo公式サイト

株式投資

株式投資は、証券会社に口座を開設し、企業の株式を購入して利益を得る運用方法です。投資の王道ともいえる方法で、株式の売買益によるキャピタルゲイン、または株主に分配される配当金によるインカムゲインの2軸で利益を得ます。

従来の株式投資は、購入可能な1単元が100株や1,000株に設定されていることが多く、数十万円を超える資金が必要となるケースが一般的でした。

昨今では、数万円から購入可能なミニ株が登場しており、資金が少ない方でも株式投資に挑戦できるようになりました。

ただし、株式相場は世界情勢や経済動向の影響を受けて大きく変動するため、安定した利益を得るためには、情報収集を怠らず、さまざまな分野の知識を身につける必要があります。

常に知識を吸収する貪欲さが求められるので、まずは投入資金が少なく済むミニ株から始めて、本格的な株式投資に少しずつ慣れていきましょう。

投資信託

投資信託は、投資家から集めた資金をファンドマネージャーが運用し、その運用で利益が出た場合に配当金が受け取れる運用方法です。

初心者の方におすすめの理由は、少額から資産形成を開始でき、投資家の代わりにプロの専門家が運用を行ってくれるので、自分で売買のタイミングを判断しなくて良いというメリットがあるためです。

投資信託による運用は、株式や債券、不動産など、多岐に渡る分散投資で行われるので、リスク分散が可能な点もメリットといえます。

一方で、投資信託で運用をする際には、定期的な運用コストが発生する点には注意が必要です。また、元本保証がされているわけではないため、市場相場によっては元本割れを起こしてしまう可能性もあります。

運用先を選ぶためにはある程度の金融知識も必要です。どれにすべきか迷ったときは、ファイナンシャル・プランナーなどの専門家に相談してみましょう。

財形貯蓄制度

勤務先に財形貯蓄制度がある方は、そちらを利用するのもよいでしょう。財形貯蓄は給与天引きで貯蓄を行う制度なので、貯金が苦手な方も資産形成しやすいのがメリットです。

また、財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の元金合計550万円までの利子が非課税になる、財形持家融資を利用できるというメリットも。

さらに、企業によっては財形貯蓄を行っている社員に給付金を拠出してくれるところもあるため、ぜひ一度勤務先の制度を確認してみてください。

財形貯蓄には、一般財形貯蓄・財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄の3種類があります。一般財形貯蓄は使い道が自由ですが、財形年金貯蓄は老後資金の形成、財形住宅貯蓄は持ち家購入またはリフォーム資金の形成を目的とするものです。

目的以外の用途のために引き出すと、過去5年間の利息に遡って課税されるため、資産形成の目的によって財形貯蓄の種類を使い分けましょう。

積立保険

万一の際の保障を持ちながら貯蓄を行いたい方には、積立保険がおすすめです。積立保険には、「終身保険」「個人年金保険」「学資保険」などがあります

積立保険なら、保険料支払いにより自動的に積み立てがされ、解約しないかぎりは資金の引き出しもできないため、せっかく貯めたお金を使い込んでしまう心配がありません。

一方で、積立保険を途中解約すると元本割れしたり、保障を手厚くすると貯蓄性が下がったりする場合もあるため、目的に合わせて選ぶことが重要です。

月々の掛金のほか払込期間や保障期間、保障内容、解約返戻金や満期保険金の返戻率などを確認し、納得したうえで加入しましょう。

自分で選ぶのが難しい場合は、FPなどお金の専門家に相談すると、自分に必要な積立保険を提案してもらえます。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーは、投資家の資産状況や年齢など、AIがさまざまな状況を鑑みて、投資先や金融商品のアドバイスをしてくれる運用方法です。

ロボアドバイザーは複数の企業が提供しており、投資家への助言が中心の「アドバイス型」、投資家の代わりに資産運用を自動的に進めてくれる「一任型」の2種類があります。

投資知識が乏しい初心者でも、ロボアドバイザーの案内に従って運用を行えば、その時々の状況に合わせた効率の良い資産形成が行えます。

ただし、ロボアドバイザーによる運用は長期投資を前提としており、数ヶ月や数年程度の短期間では、十分な利益を得るのが難しいといえます。

また、機械学習による運用とはいえ元本割れの可能性がゼロではなく、運用手数料などのランニングコストも発生する点には注意が必要です。

固定費の見直し

そもそも貯金にまわすお金がない場合は、家計の支出を抑え、貯金できるだけの余力を作る必要があります。ご紹介した運用方法を実践することに加え、毎月の支出を見直すことも効果的です。

中でも、毎月自動的に支払いが発生する「固定費」の見直しは、大きな節約効果が期待できるので、ぜひ実践してみましょう。一般的な固定費の一例は以下のとおりなので、固定費を見直す際の参考にしてみてください。

  • 居住費(家賃、住宅ローン、固定資産税など)
  • 水道光熱費(基本料金部分)
  • 通信費(インターネット代、スマホ代)
  • 保険料(生命保険、損害保険など)
  • 自動車維持費(車検、自動車ローン、駐車場代など)
  • 月額サービス(定期購入・サブスクリプション)

保険商品は年を経るにつれて新しいサービスが登場しており、中には、加入中の保険とほぼ同じ保障内容でありながら、保険料が安い別の商品が登場しているかもしれません。

毎月の支出を節約できれば、これからの長い人生を過ごす中で非常に大きな資金を手元に残せるようになります。夫婦の貯金を意識し始めたら、まずは固定費の見直しから行うことをおすすめします。

金利の高い銀行を選ぶ

短期・中期的に利用する予定のお金はいつでも引き出せる銀行に預ける方は多いと思いますが、少しでも金利の高い銀行を選ぶことで効率の良い貯金が可能に。

特に、一般的なメガバンクや都市銀行よりも、ネット銀行のほうが金利は高めに設定されています。たとえば、ネット銀行の一例とその金利は、次のとおりです。

銀行名定期預金の金利普通預金の金利
SBI新生銀行最大0.1%最大0.003%
UI銀行最大0.2%0.1%
SBJ銀行最大0.2%0.02%
あおぞら銀行BANK最大0.25%0.2%

※ 2023年3月時点、税引き前の金利となります。

なお、一部のネット銀行で高金利を実現するためには、一定額以上の預け入れが必要だったり、給与受取口座に指定する必要があったり、さまざまな条件が定められている場合があります。

一方、特定の銀行やコンビニのATMなら回数制限無しで手数料が無料になる、取引回数に応じて優遇措置が受けられるなど、ネット銀行ならではのメリットがあります。

ネット銀行の特徴と金利をよく調べたうえで、なるべく高金利の銀行で口座を開設することを心がけましょう。

まとめ

金融広報中央委員会の調査データによると、20代の平均貯金額は約185万円、中央値は約20万円であることがわかりました。

世帯別20代の平均貯金額
世帯平均中央値
総世帯185万円20万円
二人以上世帯214万円44万円
単身世帯176万円20万円

参照:家計の金融行動に関する世論調査[総世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
参照:家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会
参照:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果 各種分類別データ シート4|知るぽると 金融広報中央委員会

一般的に、日本では年齢が上がるにつれて収入も増える傾向にあるため、年齢が若い20代の方は収入が低いうえに貯金額も少なめです。

一方、貯金が少ない20代でも、全体の3%前後は1,000万円以上の貯金に成功しています。貯金に取り組む姿勢や効率のよい資産形成の方法を知っているか否かによって、貯金額の多寡は大きく異なります。

紹介した資産形成の方法を参考にして、20代のうちから将来を見据えた貯金に積極的に取り組んでみてください。